こんばんは。
心理カウンセラーの伊藤憲治です。
先日、フィッシング詐欺と警察官なりすまし詐欺について記事を書きました。
この2本を書いたことをきっかけに、もう少し詳しく調べてみました。
今日はその中でも、特に被害が深刻な「ロマンス詐欺」についてお話しします。
ロマンス詐欺は、フィッシング詐欺や警察なりすましとは異なる心理的な仕組みで動いています。
「不安」ではなく、「愛情」「つながり」「信頼」という人間の根本的な感情を利用するのです。
この記事でわかること
- ロマンス詐欺の典型的な手口と、AIによる進化の実態
- 詐欺師が使っている「愛情と信頼」の心理的な仕掛け
- 「引っかかってしまう側」に起きている心理的なメカニズム
- 見破るための具体的なポイント
まず、現状を数字で見てみましょう
警察庁の確定値によると、2025年のSNS型ロマンス詐欺の認知件数は5,645件、被害額は552.2億円で、前年比約38%増加しています。
被害者は男性・女性ともに40代〜60代が中心で、被害額の約4分の3を占めています。
また、2025年はAIを活用したロマンス詐欺が急増した年でもあります。
その進化のスピードは、従来の対策を根底から覆しつつあります。
ロマンス詐欺の典型的な手口
①マッチングアプリ・SNSで接触する
マッチングアプリ、Instagram、Facebook、Twitterなどで魅力的なプロフィールのアカウントから接触してきます。
「医師」「パイロット」「海外在住の成功した日本人ビジネスマン」といった、信頼感と魅力を兼ね備えたペルソナを演じることが多いです。
②時間をかけて信頼関係を築く
ロマンス詐欺の最大の特徴は、「時間をかける」ことです。
数週間、場合によっては数ヶ月にわたって毎日連絡を取り、誕生日を覚え、悩みを聞き、励まし続けます。
「この人は本当に自分のことを大切にしてくれている」という確信が生まれてから、次のステップに進みます。
③お金を要求する理由を作る
「急病になったが海外で保険が使えない」
「事業のトラブルで一時的に資金が必要」
「あなたへのプレゼントに高額な関税がかかってしまった」
こうした、断りにくい事情を作り出して金銭を要求します。
最初は少額ですが、徐々に金額が増えていきます。
④AIによる進化。24時間365日、理想の相手を演じ続ける
2025年のロマンス詐欺における最大の変化は、AIの本格的な活用です。
詐欺師は生成AIを使って被害者の性格や好みを分析し、理想の相手を完璧に演じます。
24時間365日、感情豊かで一貫性のある会話が可能になり、一人の詐欺師が数千人の被害者と同時にやりとりをしています。
文体や言い回しも自動調整されるため、「不自然さ」で見抜くことが、今や非常に難しくなっています。
「ひっかける側」が使っている心理的な仕掛け
①「ラブボミング」愛情の爆撃で判断力を奪う
ラブボミングとは、相手を褒め続け、特別扱いし、愛情の言葉を大量に浴びせることで、相手の批判的な思考を麻痺させる手法です。
「あなただけに話す」「あなたのような人に会ったことがない」という言葉が続くとき、脳は「特別な関係だ」と感じ、疑う気持ちが薄れていきます。
②「投資の回収。お金をかければかけるほど止められなくなる」
時間と感情をかければかけるほど、「このお金を失いたくない」「この関係を失いたくない」という心理が強くなります。
これは「サンクコスト効果」と呼ばれる心理で、過去に投じたものを無駄にしたくないという感情が、冷静な判断を妨げるのです。
③「孤立化」周囲の意見を遮断する
「家族や友人に話すと心配させてしまう」「私たちの関係を誰かに邪魔されたくない」という言葉で、周囲への相談を遮断します。
孤立すればするほど、詐欺師との関係だけが現実の支えになっていくのです。
「引っかかってしまう側」の心理
①「つながりたい」という根本的な欲求
ロマンス詐欺が他の詐欺と最も異なるのは、「お金」ではなく「愛情とつながり」を最初に提供するという点です。孤独感や愛情への渇望は、人間として自然な感情です。
その感情を丁寧に満たし続けられたとき、相手への信頼と愛情は本物になっていきます。
だから、「騙されたのではなく、本当に好きになってしまったのだ」という被害者が多いのです。
これは決して恥ずかしいことではなく、人間として当然の反応なのです。
②「この人だけは違う」という特別視
長い時間をかけて丁寧に育まれた感情は、
「詐欺かもしれない」
という理性的な疑いよりも、強くなりやすいのです。
「詐欺師にこんな細やかな対応はできない」
「この人は本当に私のことを理解してくれている」
という思いが、疑いを打ち消してしまいます。
見破るための具体的なポイント
- 会ったことのない相手からお金の要求が来たら、すべて詐欺と思う
- プロフィール写真を画像検索して、別のサイトで使われていないか確認する
- 「家族に話さないで」「秘密にして」という言葉が出たら危険信号
- 「会いたいけど事情があって会えない」が続く場合は疑う
- 関係が深まる前に、信頼できる第三者に話してみる
もし、すでに被害に遭っていたとしても
ロマンス詐欺の被害者は、「自分が馬鹿だった」と深く自分を責めることが多いです。
でも、それは違います。
あなたが体験したのは、AIも含めた高度な心理操作です。
愛情を持って接してくれる相手を信じることは、人間として当然の反応です。
騙されたあなたではなく、騙した詐欺師に責任があります。
被害に遭ったと感じたら、まず警察や消費生活センター(188)に相談してください。
💞 あの人の言動を、もっと深く知りたい方へ
「恋愛カルテ」という名前ですが、対象は恋愛関係に限りません。身近な人の言動の背景を、行動分析と心理学の視点から個別に読み解くこともできます。
まとめ
- 2025年のSNS型ロマンス詐欺の認知件数は5,645件、被害額は552.2億円。前年比約38%増。被害者は40〜60代が中心
- 時間をかけて信頼を育て、お金を要求するのが典型的な流れ
- 2025年からAIが本格活用され、一人の詐欺師が数千人と同時にやりとりするまでに進化
- 「ラブボミング」「サンクコスト効果」「孤立化」が主な心理的手口
- 会ったことのない相手からのお金の要求は、すべて詐欺と考える
- 騙されたのはあなたのせいではなく、詐欺師の高度な心理操作が原因
ロマンス詐欺は、「愛情」という人間の最も深い感情を利用します。
その仕組みを知っておくことが、自分と大切な人を守る最初の一歩になるのです。
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