こんばんは。心理カウンセラーの伊藤憲治です。
先日、フィッシング詐欺と警察官なりすまし詐欺について記事を書きました。
この2本を書いたことをきっかけに、もう少し詳しく調べてみたのです。
すると、フィッシング詐欺や警察なりすまし以外にも、今この瞬間も急増している詐欺が複数あることがわかりました。
今日はその中でも、「SNS型投資詐欺」についてお話しします。
この記事でわかること
- SNS型投資詐欺の典型的な手口と流れ
- 詐欺師が使っている心理的な仕掛けの正体
- 「引っかかってしまう側」に起きている心理的なメカニズム
- 2025年〜2026年の最新動向と、見破るためのポイント
まず、現状を数字で見てみましょう
警察庁が発表した確定値によると、2025年のSNS型投資詐欺の被害額は1,274.7億円、ロマンス詐欺の被害額は552.2億円で、合計約1,834億円に達しました。
前年の約1,272億円から大幅に増加しており、1日あたり約5億円が詐欺グループの手に流れている計算になります。
被害者の年齢層は、男性・女性ともに40代〜60代が中心ですが、20代・30代の若い世代の被害も増加しています。「投資に詳しい中高年だけが狙われる」という時代は、すでに終わっています。
SNS型投資詐欺の典型的な手口
①SNSや広告から接触してくる
最初の接触は、InstagramやYouTube広告、FacebookやLINEのグループなどです。
著名な投資家、有名芸能人、経済評論家などになりすましたアカウントが
「少額から始められる投資術」
「AIが自動運用してくれる」
といった言葉で接触してきます。
2025年から2026年にかけては、YouTube広告経由の被害が急増しています。
動画という媒体の信頼感を利用した、新しいトレンドです。
②LINE・専用アプリへ誘導する
SNS上での接触の後、「詳しい話はこちらで」とLINEや専用のチャットアプリに誘導されます。
グループLINEに招待され、「他の参加者の成功体験」を見せられることで、「自分も儲けられそう」という確証バイアスが強化されます。
③最初は小額で「成功体験」を与える
最初は少額の投資を勧め、実際に「利益が出た」という画面を見せます。
この利益は実際には出ておらず、詐欺師が作った偽の管理画面を見せているだけです。
この偽の成功体験が、次の大きな投資へのハードルを下げるのです。
④大きな金額を振り込ませ、出金を拒否する
「今だけのチャンス」
「もっと大きく利益を出せる」
という言葉で、より大きな金額を振り込ませます。
そして出金しようとすると、
「手数料が必要」
「税金を先払いしないと引き出せない」
という理由でさらにお金を要求し、最終的に連絡が取れなくなります。
「ひっかける側」が使っている心理的な仕掛け
①「社会的証明」他の人も儲けているという安心感
グループLINEで「今月〇〇万円の利益が出ました!」という他の参加者のメッセージを見せられます。
これは「社会的証明」と呼ばれる心理的手法で、多くの人がやっているから正しいはずだ、という判断を引き起こします。
しかしこれらのメッセージは、詐欺師が自分で書いているのです。
②「希少性」今しかないというプレッシャー
「今週だけの特別枠」「あと3人しか入れません」という言葉で、じっくり考える時間を奪います。
前回の記事でもお伝えした「速い脳(システム1)」を動かして、「遅い脳(システム2)」が批判的に考える前に行動させる手口です。
③「権威」信頼できる人物になりすます
著名な投資家や有名人の写真・名前を無断使用し、「あの人が勧めているなら安全」という心理を利用します。
実際、多くの有名人が自分の名前を無断使用された被害を訴えています。
④「返報性」親切にされると断りにくくなる
最初は「無料の情報」「無料のセミナー動画」を提供し、親切にしてくれます。
人間は親切にされると、お返しをしなければという気持ちになりやすい。
これが「返報性の原理」です。
詐欺師はこの心理を使って、断りにくい状況を意図的に作り出しているのです。
「引っかかってしまう側」の心理
①「将来への不安」が判断力を曇らせる
老後の資産形成、物価上昇、賃金が上がらない現実
こうした将来への不安が強いほど、「簡単に儲けられる方法」への期待が高まります。
不安という感情は、冷静な判断力を下げる方向に働きます。
②「確証バイアス」信じたいものしか見えなくなる
「これは本物かもしれない」と思い始めると、その信念を支持する情報だけを集め、疑う情報を無視するようになります。
これが「確証バイアス」です。
偽の成功体験を見せることで、この確証バイアスを強化するのが詐欺師の狙いなのです。
見破るための具体的なポイント
- SNSや広告で知り合った人から投資の話が来たら、まず疑う
- 「必ず儲かる」「リスクゼロ」という言葉は存在しない
- 著名人が勧めている投資話は、公式サイトで直接確認する
- 出金しようとするとお金が必要と言われたら詐欺
- 家族や信頼できる人に相談してから判断する
- 金融庁の「金融サービス利用者相談室」(0570-016-811)に確認する
💞 あの人の言動を、もっと深く知りたい方へ
「恋愛カルテ」という名前ですが、対象は恋愛関係に限りません。身近な人の言動の背景を、行動分析と心理学の視点から個別に読み解くこともできます。
まとめ
- 2025年のSNS型投資詐欺の被害額は1,274.7億円、ロマンス詐欺は552.2億円で合計約1,834億円。被害者は40〜60代が中心だが若い世代の被害も増加
- SNS・YouTube広告→LINE・専用アプリ→偽の成功体験→大金振り込みという流れが典型的
- 「社会的証明」「希少性」「権威」「返報性」という4つの心理的仕掛けが使われている
- 将来への不安と確証バイアスが、判断力を曇らせる
- 「必ず儲かる」「出金にお金が必要」はすべて詐欺のサイン
詐欺師は、人間の「欲」だけでなく、「不安」「信頼」「孤独」といった感情の普遍的な弱点を熟知した、心理の専門家でもあります。
その手口を知っておくことが、自分と大切な人を守る最初の一歩になるのです。
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