「嫌いじゃないのに、行けない」ドタキャンを繰り返してしまう理由はADHD・ASDの特性にあった

こんばんは。
心理カウンセラーの伊藤憲治です。

今日は、「約束の直前になると、急に行きたくなくなってしまう」というお悩みについて書いていこうと思います。
今回は30代前半の男性からのご相談です。

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「友だちや会社の同僚のことは嫌いじゃありません、仲も良いと思っています。
でも、食事や遊びにいく約束をしてその直前になると急に『行きたくない』という気持になってしまうんです。
なにか理由があるのか?と考えても明確な理由は思いつかず、しんどいというか、苦しい気持ちになるんです。
それが理由でドタキャンを何度もしてきており、良好な関係を続けるのが難しいと自覚しています。
これって診断されている発達障害が関係しているのでしょうか?」

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「嫌いじゃないのに、行けない」

この感覚、ご自身では全く説明がつかなくて、もどかしいですよね。。。

結論からお伝えすると、この「直前になると行きたくなくなる」という体験は、発達障害の特性と深く関係していることがあります。意志が弱いのでも、相手のことが嫌いなのでもないのです。

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この記事でわかること

  • 「約束直前の行きたくなくなる」がADHD・ASDの特性と関係する理由
  • 「しんどい・苦しい」の正体が言語化できない背景
  • ドタキャンを繰り返してしまう自分を責めなくていい理由と、現実的な対処のヒント

なぜ「直前」になると気持ちが変わるのか

結論からお伝えします

ADHDとASD、どちらの特性においても、「約束をした時点の自分」と「当日直前の自分」の気持ちの状態が、大きく異なってしまうことがあります。

これは気分屋でも、わがままでもありません。脳の情報処理の特性が、そうさせているのです。

ADHDの特性から考える「直前の行きたくない」

①約束した時点と、当日の気分が別人のように違う

ADHDの脳は、「今この瞬間」の感情に非常に強く引っ張られる特性があります。

数日前に「楽しそう、行こう」と約束したとき、その気持ちは本物です。
でも当日の直前になって、気分や体調、そのときの感覚が少し変わっただけで、「行きたくない」という感情が一気に押し寄せてくることがあるのです。

これはADHDの感情調節の難しさと、衝動性が組み合わさったときに起きやすい現象です。
「行くべきだとわかっている」のに、今この瞬間の感情がそれを上回ってしまうのです。

②「しんどい・苦しい」の理由が言語化できない

ADHDの方は、自分の感情を言語化することが難しいケースがあります。

「なぜ行きたくないのか?」と考えても、明確な答えが出てこない。
それは理由がないのではなく、感情と言葉が結びつきにくい脳の特性によるものです。

「なんとなくしんどい」
「なんとなく苦しい」

この漠然とした感覚は、れっきとした感情のサインなのです。

ASDの特性から考える「直前の行きたくない」

①「これから起きること」への強い不安

ASD(自閉スペクトラム症)の特性のひとつに、見通しの持ちにくさがあります。
ASDの方は、環境の変化や「まだ起きていないこと」への不確かさに対して、強いストレスを感じやすい傾向があります。

「今日の食事、どんな話になるだろう」
「どんな雰囲気になるだろう」
「うまく会話できるだろうか」

こうした不確かさが、直前になるほど強い不安として押し寄せてくることがあるのです。

約束をした数日前は、まだ「先のこと」として処理できていた不安が、当日の直前になって一気にリアルになる。
これがASDの方の「直前の行きたくない」の大きな原因のひとつなのです。

②人と会うだけで、大量のエネルギーを消耗する

ASDの方は、社会的な場『人と会って話すこと自体』に、定型発達の人よりも多くの認知的エネルギーを使います。

表情を読む、空気を読む、適切な言葉を選ぶ、会話のテンポに合わせる。
これらを同時並行で処理することが、脳にとって非常に負荷の高い作業になります。
つまり「周囲に合わせようとすること」そのものが、大きな苦痛やストレスの源になっているのです。

「行きたくない」の正体は、「その消耗が直前になってリアルに予感される」ことによる、脳の自己防衛反応である場合があるのです。

③「理由が言えない」のは、処理が追いつかないから

ASDの方も、自分の内側で起きていることを言語化することが難しいことがあります。

「なぜ行きたくないの?」と聞かれても、脳の中で起きている複雑な処理を言葉にすることが間に合わない。
だから「理由はないけど、しんどい」としか言えない。
これは正直な状態の表現なのです。

ドタキャンを繰り返してしまう自分を責めなくていい理由

「また約束を破ってしまった」
「自分はなんてひどい人間なんだ」
そう自分を責めてきた方も多いのではないでしょうか。。。

でも、ここまで読んでくださった方はもうわかっていただけたと思います。

ドタキャンは、意志が弱いからでも、相手を軽んじているからでもありません。
ADHDやASDの特性が、「直前の自分」を追い詰めているのです。

責めることに使ってきたエネルギーを、特性を知って対処することに向けていきましょうね。

現実的な対処のヒント

①約束のハードルを下げる工夫をする

「2時間の食事」より「30分のお茶」、「大人数の飲み会」より「1対1のランチ」のように、最初から消耗が少ない形の約束にする工夫が有効です。

無理のない形で関係を続けることのほうが、長い目で見たときに大切なのです。

②「直前に不安になること」を事前に伝えておく

信頼できる相手には、「直前に気持ちが変わってしまうことがある」と、あらかじめ正直に伝えておくことも、ひとつの方法です。

理解してもらえる環境を作ることが、ドタキャンの罪悪感を減らし、関係を長続きさせるきっかけになります。

③「行けなかった自分」より「伝えた自分」を評価する

ドタキャンしてしまったとき、相手に「ごめん、今日やっぱり難しくなってしまった」と一言伝えることができたなら、それはとても大切な一歩です。

黙って消えるのではなく、正直に伝える——その積み重ねが、関係を守ることにつながります。

ひとりで抱え込まなくていい

「自分だけがこんなに生きづらい」と感じてきた方へ。

ADHDやASDの特性を持ちながら、人間関係の中でうまくやっていこうとする。
それだけで、すでにとても多くのエネルギーを使っているのです。

自分の特性を知り、自分に合った関わり方を見つけていくために、専門家への相談やセルフケアのツールを活用することも、ぜひ検討してみてください。

感情の波や発達特性のセルフケアに、こちらのアプリも参考になります。

まとめ

  • 「約束直前に行きたくなくなる」は、ADHDの感情調節の難しさ・衝動性と深く関係している
  • ASDの「見通しの持ちにくさ」と「社会的な場でのエネルギー消耗」も、直前の行きたくなさの大きな原因になる
  • 「理由が言えない」のは、感情の言語化が難しい特性によるものであり、理由がないわけではない
  • ドタキャンは意志の問題ではなく、特性への理解と対処で変えていける
  • 約束のハードルを下げる・事前に伝える・正直に連絡するという小さな積み重ねが、関係を守ることにつながる

「嫌いじゃないのに、行けない」——その苦しさには、ちゃんと理由があります。

特性を知ることが、自分を責めることをやめる最初の一歩です。一緒に考えていきましょう。

参考書籍

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