こんばんは。
心理カウンセラーの伊藤憲治です。
今回は20代の男性からのご相談です。
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20代後半の会社員です。
自分が担当している仕事をどう進めていいかわからなくて、上司に「どこかで時間ありませんか?」と相談したんです。
そうしたら上司が「今日は残業してもいいよ!」って言い始めたんです。
「???」となりました。
だって残業の話なんてしていないのに。
ほかの誰かの話と混ざってしまったのかな?と思って、「あの、仕事どう進めていいかわからなくて相談したいんです」って残業のことには触れずに、もう一度自分の相談したい内容を伝えたんです。
そうしたらまた「大丈夫!何時まで仕事したいの?」って聞いてきたんです。
これって話きいてないですよね?
これって相談を避けているんでしょうか?
それとも残業しろってことなんでしょうか?
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勇気を出して相談しようと決めたのに、なんとも言えない気持ちになりますよね。。。
この記事でわかること
- 会話が噛み合わなくなる瞬間に、心の中で何が起きているのか
- 「聞いているのに聞こえていない」という現象の心理学的な仕組み
- 職場でこうしたすれ違いが起きたときの受け止め方
なぜ「話がかみ合わない」瞬間は起こるのか
この上司はご相談者さんを無視したわけでも、意地悪をしたわけでもないのです。
おそらく本人にも、自分がズレた返答をしているという自覚がなかったのではないかと思います。
こうしたすれ違いは、意図的な拒絶よりも、無意識の情報処理のクセによって起こることの方が多いのです。
ここでは、考えられる3つのケースを見ていきますね。
ケース1:スキーマによる自動変換
上司の頭の中に「若手からの相談=労働時間や仕事量の不満」という思い込みの枠組み(スキーマ)が出来上がっていた可能性が考えられます。
人は新しい情報を受け取るとき、白紙の状態で理解しているわけではないのです。
過去の経験から作られた「型」に当てはめて解釈する傾向があります。
これを心理学ではスキーマと呼びます。
管理職という立場は、部下からの相談の多くが「残業がつらい」「仕事量が多い」といった内容に偏りがちな環境に置かれていますよね。。。
そのため「相談したい」という言葉を聞いた瞬間、内容を精査する前に「またあの話だろう」と自動的に変換してしまったのではないかと考えられるのです。
ケース2:防衛機制としての論点のすり替え
具体的な業務指導という負担の大きい役割から、無意識に逃げていた可能性も考えられます。
「仕事の進め方がわからない」という相談に丁寧に応じるには、上司自身がその業務を把握し、順序立てて説明する労力が必要になります。
もし上司自身がその業務に自信を持てていなかったり、多忙で時間を割く余裕がなかったりした場合、心はより負担の少ない話題へと逃げようとするのです。
これは精神分析でいう防衛機制のひとつで、答えにくい問いを、答えやすい問いにすり替えることで、自分の心を守ろうとする働きなのです。
「残業してもいいよ」という返答は、実は上司自身の「教える自信のなさ」の裏返しだったのかもしれません。
ケース3:選択的傾聴(selective listening)
上司は物理的には話を聞いていても、自分の関心のある部分だけを拾って処理していた可能性が考えられます。
選択的傾聴とは、相手の話全体を受け止めるのではなく、自分にとって重要だと感じたキーワードだけに反応してしまう現象です。
管理職は日々多くの部下とやり取りをしており、常に脳のリソースを节約しながら会話を処理する癖がついていることが少なくありません。
「相談」「時間」という言葉から「労務管理の話だ」と早合点し、「進め方がわからない」という核心部分を聞き逃してしまったのではないかと考えられるのです。
これは能力の問題というより、日々の情報過多によって誰にでも起こり得る現象なのです。
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まとめ
今回のケースのように、会話がすれ違ってしまう背景には、相手の悪意ではなく、思い込みの枠組みや、心を守るための無意識の働き、そして情報処理の癖といった、誰にでも起こり得る心理的なメカニズムが隠れていることが多いのです。
もしご自身の相談が伝わっていないと感じたときは、一度「進め方について、具体的に◯◯の部分を教えていただきたいのです」というように、話題をさらに絞り込んで伝え直してみるのも一つの方法かもしれません。
相手を責める前に、こうした心の仕組みを知っておくだけで、少し気持ちが楽になることもあることを忘れないでくださいね!
