—— 脳科学で紐解く、ADHD特有の対人過敏メカニズム
🌱はじめに
こんにちは。
心理カウンセラーの伊藤憲治です。
ふとした会話の途中で、
相手の眉がわずかに動く。
声のトーンが一瞬だけ下がる。
その瞬間、頭の中で警報が鳴ります。
「……今、ちょっと不快にさせた?」
そのあと相手は普通に話し、笑顔も戻っている。
それなのに、自分の胸のザワつきだけが消えない。
- 本当はまだ怒っているのでは
- 無理して笑っているだけでは
- さっきの一言が致命的だったのでは
帰宅後も、ひとり反省会が止まらない。
ADHDやHSP傾向のある方から、
この感覚はとてもよく聞かれます。
これは「気にしすぎ」なのでしょうか。
それとも「被害妄想」なのでしょうか。
答え: その感覚は、半分は「事実」で、半分は「脳のエラー」です。
🌠 メカニズム①
入力は正確 ―― 扁桃体と微表情のキャッチ力
まず最初に、大切なことをお伝えします。
あなたが感じた
「あ、今ちょっと不快そうだった」
という直感。
多くの場合、それ自体は間違っていません。
ADHDやHSP傾向のある脳では、
感情処理の中枢である 扁桃体 が過活動になりやすいことが知られています。
これは
- 拒絶
- 攻撃
- 不機嫌
といった 対人リスクを早期に察知するための生存本能 です。
心理学者ポール・エクマンが提唱した
微表情(マイクロ・エクスプレッション)
──0.2秒以下で表れる感情反応──を、
あなたの脳は
📸 高感度センサーのように正確に拾っています。
つまり、
✔ 気づきすぎる
✔ 感度が高すぎる
というだけで、
見ているもの自体は現実であることが多いのです。
🌠 メカニズム②
処理が止まる ―― ワーキングメモリの更新不全
問題は「そのあと」に起きています。
定型発達の脳では、
- 一瞬の不快
→ 数秒で「過去情報」に格納
→ 今の笑顔に上書き
という処理が自動で行われます。
しかしADHD特性のある脳では、
前頭前野の実行機能、とくに
- セット・シフティング(切り替え)
- ワーキングメモリの更新
が弱くなりやすい傾向があります。
💻 パソコンで例えるなら、
- サーバー上の相手:すでに「通常モード」
- あなたの画面:数分前の「不機嫌」が表示されたまま
つまり、
脳内キャッシュがクリアされていない状態です。
あなたが感じている
「相手の不機嫌が続いている感覚」は、
相手の現実ではなく、
脳内に残った“過去の画像”を見続けている可能性が高いのです。
🌠 メカニズム③
感情が増幅される ―― RSDという特性
この状態をさらに強化するのが、
ADHD特有の概念である RSD
(拒絶性敏感不快)です。
RSDとは、
- 拒絶
- 批判
- 見捨てられるかもしれない感覚
に対して、
身体的な痛みに近い苦痛を感じやすい特性です。
脳はこう判断します。
「また傷つくかもしれない」
「警戒を解いたら危険だ」
その結果、
- 相手が普通に戻った証拠を無視
- 「まだ怒っているはず」という仮説に固執
という 防衛ループ が完成します。
これは性格ではありません。
脳の安全装置が過剰に作動している状態です。
🛠️ 対処の考え方
―― 脳のキャッシュを「更新」する
この特性を踏まえた上で、
現実的にできる整理の仕方があります。
① 事実と時間を分けて考える 📌
不安になったとき、こう整理してみてください。
- 「さっきの不快は事実かもしれない」
- 「でも、今の不快感は“過去の残像”かもしれない」
📌 入力は正確、持続はエラー
この分解だけで、自己否定はかなり減ります。
② 外部で「再読み込み」する 🔄
脳内だけで考え続けると、
キャッシュは更新されません。
必要であれば、
軽く・事実確認として聞いてみる。
「さっきの言い方、気になった?」
多くの場合、
「え? 全然気にしてないよ」
と返ってきます。
その 温度差 が、
脳を現実に引き戻すトリガーになります。
まとめ 🌱
その敏感さは、欠点ではない
相手の微細な変化に気づく力は、
本来とても貴重な能力です。
ただ、
一度掴んだ情報を手放すのが苦手
という特性があるだけ。
「気にしすぎだ」と責める必要はありません。
📌 私の脳は、キャッシュが残りやすい
そう知っているだけで、
人間関係の息苦しさは驚くほど軽くなります。
🌙 もし辛くなったり苦しくなったら。
もし、ひとりで整理するのが辛くなったり苦しくなったら、
「話す」という選択肢があることを忘れないでくださいね。
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