不登校・発達障害のお子さんでも大丈夫。

環境を整えた1年半が、子どもの未来を変えた話。

こんにちは。
心理カウンセラーの伊藤憲治です。

今回は、ご相談くださったお父さんと、そのお子さんのお話をご紹介させていただきます。

守秘義務がありますので、個人が特定されないよう詳細は変えてお伝えしています。

それでも
「こういうケースがあるんだ」
「うちの子にも参考になるかも」
と感じていただけたら、とても嬉しいです。

「うちの子、不登校で。このまま高校にも行けないんじゃないかって、毎日不安で…」

発達障害をお持ちのお子さんの親御さんから、こういったご相談を本当によく受けます。

今日は、そんな不安の中にいる親御さんに、ひとつの事例として読んでいただけたらと思い、記事を書くことにしました。

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その子の状況——不登校、自傷、そして孤立

相談にいらっしゃったお父さんには、中学生のお子さんがいました。

そのお子さんはADHDと、ASD(自閉スペクトラム症)のグレーゾーンという診断を複数の医師から受けていました。

中学に入ってからほとんど学校に行けなくなり、学校の成績は非常に厳しい状況。
過去には自傷行為もありました。
周囲の大人から「高校は無理かもしれない」と言われたこともあったようです。

傍から見れば、「難しいケース」と映るかもしれません。
でも、私はそうは思いませんでした。

変化のきっかけ——「希望」という最強のエンジン

お父さんとお子さんが一緒に生活を始めてから、まず変わったのは「環境」でした。

そしてもう一つ、大きな変化がありました。それは——

「行きたい高校がある」

という、お子さん自身の言葉が出てきたことです。

定時制でも通信制でもなく、「普通の高校に行きたい」。

この言葉の重さを、私はとても大切に受け取りました。
なぜなら、希望を持てること自体が、発達障害のある子どもにとって、勉強のどんな教材よりも強いエンジンになるからです。

【心理学的メモ】なぜ「希望」がエンジンになるのか
 ADHDでは報酬系の機能障害があり、遠い将来の報酬よりも目前の刺激を優先しやすいことが指摘されています(Sonuga-Barke, 2003)。
また実行機能の低下も広く報告されており(Barkley, 1997)、「将来のため」という動機だけでは行動を維持しにくい特性があります。
だからこそ、「あの高校に行きたい」というような、本人の心に灯った近い未来の希望が、勉強を続けるための現実的なエンジンになるのです。

【脳科学的メモ】なぜ「自分で選んだ目標」が違うのか
 「自分で選んだ目標」と「外から与えられた目標」では、脳の働き方が異なります。
自分の意志で選んだ目標は内発的動機づけを高めるため、行動の質と継続力が全く変わってくるのです(Deci & Ryan, 1985)。
「高校に行きたい」という言葉がお父さんから押しつけられたものではなく、お子さん自身の口から出てきたこと——
それがこのケースで特に重要だったと、私は感じています。

「仕組み」が子どもを助けた——タブレット学習という選択

お父さんが選んだのは、タブレット型の家庭学習サービスでした。

これが、いくつかの理由でとても「ADHDの特性に合った」選択だったと思います。

  • 机がなくても、好きな場所で勉強できる(環境の自由度)
  • 「今日何をどれだけやったか」が親に通知される(見える化+適度な緊張感)
  • 短い単位で取り組める設計(集中が続きにくい特性への配慮)
  • オンライン英会話を利用(得意な話す・聴くを活かす)

ADHDの特性として、LD(学習障害)傾向が重なっているお子さんも少なくありません。長文の読み込みや板書が苦手でも、タブレットや音声を活用することで、学習効率が大きく変わることがあります。

「どうやって勉強させるか」ではなく、「どんな仕組みなら続けられるか」という視点が、発達障害のある子どもには特に大切です。

【発達障害支援の視点から】
 「見える化」と「ルーティン化」は、ADHDの行動支援において最も有効な手法のひとつです(Dawson & Guare, 2010)。
親が学習状況を把握できる仕組みは、子どもにとって「誰かが見ていてくれる」という安心感にもつながります。
これはアタッチメント理論(愛着理論)とも深く関連しています。

そして、結果——子どもは自分の力で未来を切り開いた

約1年半、毎日学習を続けたお子さんは——見事に、自分が行きたかった高校に合格されました。

不登校で、別室登校で、「高校には行けないかもしれない」と言われていたけれども、結果は違いました。

これは「奇跡」ではありません。

「希望」と「自分に合った環境」と「毎日の小さな積み重ね」——この三つが揃ったときに起きる、ごく自然な結果だと私は思っています。

親御さんへ——「環境をプロデュースする」という視点

発達障害のある子どもの学力や自信は、「勉強量」だけで決まるわけではありません。

その子を取り巻く「環境」を、親がどう設計するか。

どんな場所で勉強するか、どんなツールを使うか、誰が見守るか、どんな言葉をかけるか——
そのひとつひとつが、子どもの学力だけでなく、自己肯定感にも直結します。

「うちの子には無理だ」と感じる前に、ぜひ一度「環境を変えること」を考えてみてください。

この事例から見えてくること

  • 子ども自身の「行きたい」という希望が、最大の学習エンジンになる
  • ADHDの特性に合った「続けやすい仕組み」を選ぶことが大切
  • 「見える化」と「安心できる関係性」が、子どもの行動を安定させる
  • 親が「環境をプロデュースする」という視点を持つことで、子どもの可能性は大きく広がる

最後に

「うちの子、大丈夫かな」と不安な夜を過ごしている親御さんに、この事例が少しでも「そうか、こういうやり方もあるんだ」と思っていただけたら幸いです。

私自身も、発達障害と向き合いながら毎日を生きるひとりです。
だからこそ、「諦め」を「工夫」に変えることの大切さを、心から信じています。

もし「うちの場合はどうすればいいの?」と思われた方は、お気軽にご相談くださいね。

あなたのお子さんの「希望」を、一緒に見つけていきましょう。

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