― 医学・脳科学で紐解く「反動(クラッシュ)」の正体と、波をなだらかにする3つの防衛策【2026年度版】
こんにちは。
心理カウンセラーの伊藤憲治です。
- 数時間、神がかった集中力で仕事を一気に片付ける
- 周囲からは「すごい集中力だね」と言われる
- しかしその直後、電源が切れたロボットのように動けなくなる
もし、こうした極端なアップダウンに心当たりがあるなら、
それは意志や性格の問題ではありません。
この記事では、
**ADHD(とくに大人のグレーゾーン)に多く見られる「過集中」と、その反動」**について、
医学・脳科学・心理学の視点から構造的に整理します。
※この記事は診断を行うものではありません。
「なぜ起きるのか」「どう付き合えばいいのか」を理解するための整理です。
🌠 これは「性格」ではなく「生理現象」です
結論から言うと、
ADHDの過集中とその反動は、脳内の生理的プロセスによって起きています。
多くの人は、
- 「集中できたなら良いことでは?」
- 「疲れるのは努力が足りないからでは?」
と考えがちです。
しかし、ADHDの過集中は、
脳のエネルギー管理という観点では、非常に負荷の高い状態でもあります。
📖 第1章【医学・学術的視点】脳の中で何が起きているのか?
過集中(Hyperfocus)とは何か【整理】
過集中とは、
興味・報酬・責任感などが強く刺激されたときに、
注意資源が一極集中する状態を指します。
脳科学的に見ると、過集中時には、
- ドーパミン
- ノルアドレナリン
といった覚醒・報酬系の神経伝達物質が強く動員されます。
ADHDでは、これらの調整を担う前頭前野の抑制機能が弱まりやすく、
例えるなら、
ブレーキが効きにくいスポーツカーで、
ニトロエンジンを全開にして走っている状態
に近いと考えられます。
なぜ「反動(クラッシュ)」が起きるのか
結論:
「明日の分のエネルギーを、今日すべて使い切ってしまう」からです。
過集中によって、
- 神経伝達物質
- 脳内エネルギー(グルコース)
が短時間に大量消費されると、
その後、補充が追いつかない時間帯が生じます。
臨床的には、
- 神経疲労
- ドーパミン枯渇状態(いわゆるドーパミン・クラッシュ)
に近い状態として説明されることがあります。
このとき人は、
- 強い倦怠感
- 意欲の低下
- 思考停止感
を感じやすくなります。
つまり、
あなたはサボっているのではなく、
生理学的に回復を余儀なくされているのです。
🌿 第2章【臨床・心理学的視点】なぜ「止まれない」のか?
フロー体験と過集中の決定的な違い
心理学者チクセントミハイが提唱した「フロー体験」は、
- 終了後に充実感が残る
- 心身の消耗が比較的少ない
という特徴があります。
一方、ADHDの過集中では、
- 終了後に強い虚脱感
- 罪悪感や自己嫌悪
が残りやすい。
この違いの鍵が「身体感覚」です。
内受容感覚(Interoception)の遮断
過集中時、ADHDの脳では、
- 空腹
- 渇き
- 尿意
- 筋肉の緊張
といった身体からのSOS信号が、
ノイズとして遮断されやすくなります。
これを心理学・神経科学では
内受容感覚の低下として説明します。
結果として、
- 体の限界を超えるまで気づけない
- 気づいたときには、すでに大きなダメージを受けている
という状態が起こりやすくなります。
🌼 第3章【実践的視点】波を「なだらか」にする3つの防衛策
※ここで目指すのは、
「過集中をやめること」ではありません。
着地を軟着陸(ソフトランディング)させることです。
① ポモドーロ・テクニックの「強制介入」版
普通のタイマーは、
過集中状態では無視されがちです。
そこで重要なのは、
物理的な介入ルールです。
- アラームが鳴ったら必ず立ち上がる
- トイレに行く
- 窓を開ける
これは、行動療法的に
脳の回路を一度リセットする介入として位置づけられます。
② 「ブドウ糖と水」の点滴補給
過集中は、
脳のエネルギー(グルコース)を大量に消費します。
ポイントは、
- 終わってから補給するのではなく
- 集中している最中に少量ずつ入れること
ラムネやスポーツドリンクを
ちびちび摂取することで、
- 血糖値の急降下
- 反動の追い討ち
を和らげる助けになります。
③ 「ヘミングウェイ方式」で止める
作家ヘミングウェイが実践していた方法です。
「書き切ってから終わる」のではなく、
「次ができる状態で、あえて止める」。
これにより、
- 脳の興奮をクールダウン
- 次回の起動コストを下げる
という効果が期待できます。
🧠 結論|自分という「高性能マシン」の操縦士になる
過集中は、
ADHD特性の中でも強力な才能です。
しかし、
- 管理されなければ消耗を招く
- 精神論で扱うと壊れやすい
という側面もあります。
大切なのは、
疲れを気合で乗り切ること
ではなく
脳の資源管理(リソースマネジメント)として捉え直すこと
あなたの能力を、
長く・安定して使い続けるための視点です。
🌙 もし辛くなったり苦しくなったら。
もし、ひとりで整理するのが辛くなったり苦しくなったら、
「話す」という選択肢があることを忘れないでくださいね。
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