― 新しい年がしんどいと感じるのは“あなたの弱さ”ではありません ―
こんにちは。心理カウンセラーの伊藤憲治(いとうけんじ)です。
毎年、年明けの時期になると
「気持ちが沈む」「急にやる気がなくなる」
「仕事に戻るのがつらい」
というご相談が増えます。
これは一時的な“気分の波”ではなく、
年明けならではの心理・生活リズム・脳の状態が深く関係しています。
今回は、
なぜ年明けに落ち込みやすいのか。
どうすればここからゆるやかに回復していけるのか。
その理由と対策を、心理学の視点から丁寧にお話します。
🌼 1. 年明けに気持ちが落ち込みやすい理由
年末年始は「楽しいイベント」「休暇」の印象が強い一方で、
実は 心が不安定になりやすい“負荷の時期” でもあります。
その背景を順番に整理していきます。
✦ ① 生活リズムの崩れ
- 就寝時間が遅くなる
- 朝が不規則になる
- 食事時間が乱れる
- 運動量が減る
これらがそろうと、
脳の調整機能(前頭前野)が働きにくくなるため、
やる気・集中・感情が不安定になります。
ADHDやASDの特性を持つ人は、
特にリズム変化の影響を受けやすい傾向があります。
✦ ② “終わり”と“始まり”が連続する心理的負荷
年末は
- やり残したこと
- 仕事の追い込み
- 人間関係の疲れ
- 行事の多さ
年始は
- 新しい年が始まる緊張
- “ちゃんとしなきゃ”という負荷
- 目標プレッシャー
- 仕事始めのだるさ
これらが重なるため、
脳と心の疲労がピークになるタイミングなのです。
✦ ③ SNS・周囲との比較で自己否定が強まりやすい
年明けのSNSは
「新年の抱負」
「朝活」
「資格の勉強」
「今年は変わる!」
とポジティブな言葉であふれています。
しかし、心が疲れている人にとっては
それが“焦り”や“劣等感”につながり、
「自分は何もできていない」
「今年もダメかもしれない」
という思いが強まりやすい時期です。
✦ ④ 冬の寒さ・日照時間の短さが気分を下げる
冬はセロトニン(幸せホルモン)が減りやすく、
特に発達特性を持つ人は光の影響を受けやすい傾向があります。
- 朝起きられない
- 気分がスッと上がらない
- 集中が続かない
こうした状態が出やすいのは、脳の生理的な理由です。
✦ ⑤ 「年始の仕事始め」に気持ちが追いつかない
休みで緊張がゆるんでいた状態から、
急に“仕事のモード”に戻るのは
脳への負荷が大きいものです。
特に、
- 人間関係が気疲れしやすい
- 切り替えが苦手
- 社交ストレスを感じやすい
というタイプの人ほど、
このギャップに苦しみやすくなります。
🌱 2. 年明けに落ち込みやすい人の特徴
いくつかのタイプがあります。
▶ ① 完璧主義タイプ
「今年こそはちゃんとしたい」
「良いスタートを切らなきゃ」と考えてしまう人。
▶ ② ADHDタイプ
- 切り替えが苦手
- 生活リズムの乱れに弱い
- 新しい環境で緊張が大きい
年明けは特に負荷がかかります。
▶ ③ HSPタイプ
年末年始の刺激量(音・人・情報)の多さで疲れ切りやすい。
▶ ④ 内向的タイプ
外出・行事・人づきあいの連続で心が疲れきる。
▶ ⑤ 過去の“しんどい1月”が記憶として残っている人
脳は「去年の1月のつらさ」も覚えていて、
似た時期になると同じ気持ちになりやすいのです。
🌈 3. 年明けの落ち込みをやわらげる“心理学的な対策”
ここから、今日から使える実践的な方法を紹介します。
✦ ① 「全部を戻す」のではなく“ひとつだけ戻す”
生活リズムを一気に戻そうとすると、
反動でさらに疲れます。
▼ まずは“ひとつだけ”
- 起きる時間
- 寝る時間
- 朝食
- シャワー
- 外に出る時間
どれかひとつだけ、元に戻す。
これだけで脳は自然に整っていきます。
✦ ② 一日の目標は「3つまで」
年始は“気持ちだけ頑張ろうとして空回り”しがちです。
- やらないことリスト
- できたらやる
- 3つ終われば合格
この“緩さ”がむしろ継続を生みます。
✦ ③ SNSは見ない日を作る
年始のSNSは刺激量が多すぎます。
- 情報が多い
- キラキラ投稿が増える
- 人と比較しやすい
1〜2日だけでもSNS断ちをすると、
心が落ち着くスピードが違います。
✦ ④ 外に出て“朝の光”を浴びる
セロトニンが増え、うつっぽさが減ります。
- 朝5〜10分だけ散歩
- カーテンを開けるだけでもOK
冬は光が少ないため、
意識的に取り入れることがとても大切です。
✦ ⑤ 自分に“小さなご褒美”を用意しておく
年明けは、
“自分を喜ばせる行動”を入れることで
気持ちを上向きにしやすくなります。
- 好きなカフェに寄る
- 新しいノートを使う
- 温かい飲み物を飲む
- 帰宅後にゆっくりお風呂
脳が「今日は良い日だった」と感じることで、
落ち込みにくくなります。
✦ ⑥ 人間関係は“距離をとるスイッチ”を使う
年始は人と関わる機会が多いため、
距離を置く工夫も重要です。
- ランチは一人で過ごす日をつくる
- 家に帰ったら静かな時間を作る
- 会話量を減らす
- 誰かと比較しない
あなたが疲れない距離感を大事にしてください。
✦ ⑦ 年始の仕事始めは“ハードルを下げて臨む”
年始は「エンジンがかからない」が普通です。
- 午前は“リハビリ”と割り切る
- 難しい仕事は後ろにずらす
- まずはメール整理だけでも◎
- 昼休みは静かな場所で休む
年始に頑張りすぎると、
2月に大きな反動が出ることがあります。
長く続けられるペースを大切に。
🌷 4. それでも落ち込む日は“悪い日”ではない
最後に、どうか覚えておいてほしいことがあります。
◎ 年明けの落ち込みは
あなたの性格の問題でも、
努力不足でもありません。
- 生活リズムの変化
- 光の量の変化
- 心理的プレッシャー
- 人間関係の刺激
- 過去の記憶
これらが重なって、
**メンタルが揺れやすいのは“自然なこと”**です。
落ち込んだ日は――
- 無理に気持ちを上げなくていい
- できなかった自分を責めないでいい
- 今日はペースを落としていい
“しんどい自分に優しくする”という行動そのものが、
あなたの心を回復させていきます。
🌈 まとめ ― 年明けはゆっくり始めていい
今日の内容をまとめると…
【年明けに落ち込みやすい理由】
- 生活リズムの乱れ
- プレッシャーと緊張の連続
- SNSの比較
- 冬の光の少なさ
- 仕事への切り替え負荷
【対策】
- 生活リズムを“ひとつだけ”整える
- 1日の目標を3つにする
- SNSを見ない日をつくる
- 朝の光を浴びる
- 小さなご褒美をつくる
- 人間関係の距離を調整する
- 年始の仕事はハードルを下げる
どうか、
ゆっくり、ゆるやかに、あなたのペースで
新しい一年を歩き出してください。
無理に頑張る必要はありません。
“今年のスタート”は、今この瞬間からで大丈夫です。
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