― 年末の忙しさ・忘年会シーズンにも生きやすくなるために ―
こんにちは。心理カウンセラーの伊藤憲治(いとうけんじ)です。
今回は、
「職場でトラブルが続いてしまう」「仕事がしんどい」
と感じている方に向けて、
**ADHDの特性に合わせた“働き方のコツ”と“年末シーズンの注意点”**を
わかりやすくまとめていきます。
🌼 よくあるご相談
ADHD(注意欠如・多動症)を持つ大人の方からは、
こんな悩みをよく伺います。
- 仕事のミスが多い
- 締め切りを忘れてしまう
- 報連相が苦手
- 注意されると落ち込みが大きい
- 飲み会の場での失言
- 感情の波で衝動的に行動してしまう
- 仕事が続かず、職場を転々としてしまう
特に12月〜3月は、
仕事の繁忙・人間関係の負荷・季節性のストレスが重なり、
ADHDの特性が強く出やすい時期です。
今回は、
“どうすれば職場で安定して働けるか”
“どうすれば自分の特性と仲良く仕事ができるか”
に焦点をあてて解説します。
🧠 1. なぜADHDは「職場でトラブルが起きやすい」のか?
ADHDの困りごとは、努力や性格ではなく
“脳の注意システムの違い” によるものです。
そのため、職場では次のようなことが起こりやすくなります。
▶ ① 注意が散りやすく、作業を切り替えにくい
電話が鳴る、声をかけられる、通知が来るなどの刺激で
今やっている作業が中断され、ミスが増えます。
▶ ② 締め切り管理が苦手
「まだ大丈夫」の感覚が強く、
ギリギリになって焦ることが多いです。
▶ ③ 長い説明・抽象的な指示が頭に残らない
“要点を整理して覚える”ことが難しく、
大事な部分が抜けてしまうことがあります。
▶ ④ 報連相のタイミングがうまくつかめない
「あとで言おう」が続き、
結果として報告が遅くなることがあります。
▶ ⑤ 感情の波が大きく、落ち込みやすい
注意されたり、思い通りにいかないと
気持ちが一気に落ちやすいのもADHDの特徴です。
▶ ⑥ 飲み会・忘年会での失言
- 気を使って話しすぎる
- 場を盛り上げようとして空気を読みすぎる
- 飲酒で衝動性が強まる
これらがトラブルや誤解の原因になることもあります。
🌱 2. 職場で使える“ADHDの現実的な対策”
ここからは、
今日からできる“職場での実践的な対策”を紹介していきます。
✦ ① メモは「とり方」を変えるだけでミスが激減する
ADHDの人は、
言葉を聞きながら整理することが苦手です。
▶ 結論を先に書くメモが最も効果的
- “結論→理由→手順”の順に書く
- 重要単語は四角で囲む
- 1タスク1ページ(混在させない)
「何をすればいいか」が視覚的に整理され、
報連相もスムーズになります。
✦ ② 朝イチで“その日の3つだけやること”を決める
ADHDは、
多すぎるタスクを目にすると頭が固まってしまいます。
▶ 最初に“3つだけ選ぶ”
- 今日必ずやること
- 他は“できたらやる”でOK
- 選んだ3つは必ずチェック欄を作る
これだけで、
一日の仕事の見通しが変わり、
「やることが散らかってしまう」問題が大幅に減ります。
✦ ③ 締め切りは“本当の期限より2〜3日前”に設定
ADHDは“期限が迫ると本気が出る脳”です。
そのため、余裕をもたせた設定が必須です。
▶ カレンダーには
- 本当の締め切り(赤)
- 自分の締め切り(青)
と2種類書いておくと効果的。
✦ ④ 部下・上司とのコミュニケーションは「短く・頻度多め」
ADHDが苦手なコミュニケーションは
- 長い説明
- 抽象的な依頼
- 先延ばしの報連相
なので、以下が有効です。
▶ 短く・小まめに・今言う
- 1〜2文で報告
- わからない時はすぐ質問
- 返答が遅いなら「結論だけ言う」
自分から小まめに動くと、
信頼が格段に上がります。
✦ ⑤ 飲み会・忘年会シーズンの“予防策”
ADHDの人が失敗しやすいのは
まさに“年末の飲み会シーズン”です。
失言・誤解を生みやすい理由
- お酒で衝動性が強まる
- 過度に盛り上げようとしてしゃべりすぎる
- 空気を読みすぎて疲れが爆発する
- 人が多くて刺激過多になる
ここからは“今日使える”対策を紹介します。
▶ 対策① お酒は「自分で管理する」
- 最初の1杯は必ず軽め
- テンションが上がりすぎたら水に戻す
- 「今日は軽めでいきます」と最初に宣言しておく
飲みすぎるとADHD脳は“アクセル全開”になります。
先にブレーキを設定しておくのが重要。
▶ 対策② 席は“端・出口近く”を選ぶ
刺激や会話の情報量を減らせるため、
衝動性が落ち着きます。
▶ 対策③ 帰宅時間を前もって決める
- ○時になったら出る
- アラームをセットしておく
「つい長居」がトラブルの原因です。
▶ 対策④ 次の日の予定は“軽め”にしておく
ADHDの脳は刺激に弱く、
翌日に体調を崩しやすいため、
予定を減らすだけで大きく変わります。
✦ ⑥ ADHDに必須の“環境調整”を仕事で取り入れる
以下は、合理的配慮としてお願いできる項目です。
- 指示は短く・明確に
- 見える場所にTODOを書く
- 刺激の少ない席への変更
- 会議室での作業時間を確保
- メモをとりながら説明を受ける
- 一度に大量の仕事を振らない
👉 配慮を受けることは “甘え” ではなく“脳の合理性”
環境が整うと、能力が発揮しやすくなります。
✦ ⑦ ミスが続いたときの“立て直し方”
ADHDの人は、
ミスをすると自己否定に陥りやすいです。
しかし、立て直しのコツはシンプルです。
▶ 今日やることを「一つだけ」選ぶ
- 複数やると頭が固まる
- 一つだけやれば自己効力感が戻る
- 立て直しは“小さな成功体験”が鍵
🌈 3. 職場で続くトラブルは“努力不足ではない”
ADHDの特性は、
努力や気合で変わるものではありません。
それは
視力が悪い人が「頑張って見ようとする」
ようなもので、
必要なのは“メガネ(=環境調整)”です。
- 仕組みを作る
- 見える化を増やす
- 感情の波を自覚する
- 刺激を減らす
- タスクを小さくする
この“構造づくり”ができると、
職場でのトラブルは確実に減っていきます。
🌷 まとめ ― ADHDは「働き方」を変えれば力を発揮できる
ADHDの人は、
弱点と同じくらい“強み”もあります。
- アイデア力
- ひらめき
- 柔軟性
- 過集中
- 情熱
- ユーモア
- 人に寄り添う力
これらを発揮できるかどうかは、
環境と仕組みによって大きく左右されます。
今日の内容をまとめると――
◎ 職場でトラブルが起きやすい理由
- 注意の散りやすさ
- 切り替えの苦手さ
- 締め切り管理
- 長い説明が頭に残らない
- 感情の波
- 飲み会での衝動性
◎ 有効な対策
- メモの取り方を変える
- タスクは3つに絞る
- 締め切りは手前に設定
- 小まめに短く報連相
- 飲み会は事前のコントロール
- 合理的配慮を使う
- ミスの立て直しは“1つだけやる”
年末の飲み会シーズンは、
ADHDの人にとって“特にしんどくなりやすい時期”です。
どうか無理をせず、
自分のペースを守りながら、
仕事も人間関係も一緒に整えていきましょう。
あなたは、
「配慮すればちゃんと働ける人」です。
そして、
「環境が整えば能力を発揮できる人」です。
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