🌸 学校で一人になってしまう娘をどう支える?

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― 不登校を責めずに、「人とのつながり」を取り戻す環境づくり ―

こんにちは。心理カウンセラーの伊藤憲治です。

今回は、40代の母親の方から寄せられたご相談をご紹介します。

思春期の娘さんが、学校の友達関係で悩み、
「一人でいるのがつらい」「学校に行きたくない」と話すようになった――
という内容です。

不登校や孤立の問題は、「怠け」ではなく、
心のSOSであることが多くあります。
ここでは、心理学的な背景と、家庭でできる支え方について解説します。


💬 ご相談内容

娘が学校での友達関係で悩んでいます。
詳しい原因はわかりませんが、話を聞いていると、
友達たちから少し距離を置かれているような印象を受けます。

学校では一人でいることが多いようです。
「一人でいるのがつらい」「学校に行きたくない」と言うこともあります。

私は、必ずしも学校に行かなければいけないとは思っていません。
ただ、学校以外でも人と関わったり、興味を持てるものを見つけて、
毎日を楽しく過ごしてほしいと思っています。

このようなとき、親としてどんな環境をつくってあげるのが良いでしょうか?


🧠 回答:「一人でいる」ことの背景にある心理を理解する

娘さんが「一人でいるのがつらい」と感じているのは、
社会的な発達段階として自然な反応です。

心理学者マズローの欲求段階説では、
思春期は「所属と愛情の欲求」が最も強まる時期にあたります。

つまり、
「仲間の中にいたい」「誰かに理解されたい」という気持ちが、
強く心を動かす時期なのです。

この欲求が満たされないと、
「自分は受け入れられていないのでは」と感じ、
不安や自己否定が強くなりやすくなります。


🌿 「学校に行きたくない」は“逃げ”ではなく“防衛”

親御さんが「行きたくない」という言葉を聞くと、
心配と同時に、「このままでいいのだろうか」と感じると思います。

けれど、「行きたくない」は“逃げ”ではなく、
心が限界を感じたときの防衛反応です。

「これ以上つらい場所にいられない」
「一度離れて落ち着きたい」

そのサインを出せるのは、むしろ心が正直である証拠。
無理に行かせるより、まず「休む」ことを安全な選択として認めることが、
回復への第一歩になります。


🪴 不登校や孤立に対して、親ができる環境づくり


🌸 ① 「安心して戻れる場所」を家庭につくる

学校でつらい思いをしたとき、
家庭が“安心基地(セーフベース)”になっていることが何より大切です。

  • 「今日は行けなかったけど、ゆっくりしようね」
  • 「一人で過ごす時間も大事だよ」

そうした言葉が、子どもの自己肯定感(じここうていかん)を守ります。

学校に行くことよりも、
**「安心して帰ってこられる場所がある」**ことのほうが、
子どもの回復力(レジリエンス)を高めます。


🌼 ② 「無理に励まさない」「原因を追及しすぎない」

親は「何があったの?」「誰とトラブルが?」と
つい理由を探したくなりますが、
多くの場合、本人もはっきりと言葉にできません。

焦らず、「話したいときに話せばいいよ」と伝えておきましょう。

また、「がんばって行こう」よりも、
「今日はどうしたい?」と、選択を本人にゆだねる言葉が効果的です。


☀️ ③ 「学校以外の“社会とのつながり”を見つける」

お母さんが言うように、
学校だけが“社会”ではありません。

  • 地域のボランティア
  • 図書館・児童館・習い事
  • オンラインの安全なコミュニティ
  • カウンセリング・居場所支援

こうした「第三の場」は、
子どもが新しい自分を見つけるきっかけになります。

大切なのは、**「学校に行けるようにする」ではなく、「社会と関われる機会をつくる」**ことです。


💬 ④ 「興味の芽」を育てる

「人との関わり」に疲れている子どもは、
まず“好きなこと”からエネルギーを取り戻します。

  • 絵を描く
  • 動物の世話をする
  • 音楽を聴く
  • ゲームを作る・動画編集をしてみる

好きなことをきっかけに、
「共通の話題」で人とつながる力が生まれます。

親はその興味を応援し、
「あなたが夢中になれることを見つける手助け」をしてあげましょう。


🧠 心理学的視点:所属感と自己肯定感の関係

研究では、
「自分は誰かとつながっている」という感覚(所属感)は、
自己肯定感やメンタルの安定と強く関係しています。

たとえ学校で孤立していても、
家庭・地域・オンラインなどの別の場所で
**“つながりの実感”**を得られるだけで、
心の回復力が大きく高まることがわかっています。

つまり――
「学校以外に安心できる人・場所がある」ことが、
長期的な心の支えになります。


☕ 親ができる小さな関わりの工夫


🪶 「評価」ではなく「共感」で関わる

子どもが落ち込んでいるときは、
「頑張って」「元気出して」よりも、
「つらかったね」「頑張ってたんだね」と受け止める言葉が響きます。


🌱 「孤立=悪いこと」としない

「友達がいない=失敗」ではありません。
むしろ、自分を見つめる大切な時間。
孤独を通して、人の痛みがわかる子に育つこともあります。


🌤️ 「小さな外出」から社会と再接続

朝の散歩・買い物・図書館など、
“学校以外の小さな外の世界”から
再び社会に触れる機会を増やしていきましょう。

それは「逃げる」ではなく、
**“別の形で世界とつながる練習”**です。


🎒 学校との関わり方

  • 先生に「無理のない登校」「部分的な参加(行事・昼食だけ)」を相談
  • 保健室登校・別室登校も選択肢に入れる
  • 学校と家庭で情報共有を密にする

登校を「ゼロか100か」で考えず、
**“グラデーション登校”**という柔軟な発想を持つと、
親子ともに気持ちが楽になります。


🌸 まとめ

  • 「一人でいるのがつらい」は、思春期の自然な心の反応。
  • 「行きたくない」は、逃げではなく“防衛反応”。
  • 家を安心基地にして、まず心を休ませる。
  • 学校以外の居場所・人・興味を見つけることが大切。
  • 親は“話を聞く人”であり、“環境を整える人”。

💗 読者へのメッセージ

お子さんが一人でいることを「かわいそう」と思う気持ち、
「なんとかしてあげたい」という思い――
どちらも深い愛情の表れです。

でも、成長には「一人で立ち止まる時間」も必要です。

焦らず、寄り添いながら、
お子さんが“自分らしくいられる世界”を少しずつ広げていきましょう。

あなたの存在そのものが、
お子さんにとっての安心の灯(あかり)になっています。


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