思春期の子どもの友達関係に疲れてしまうとき、どう支える?

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こんにちは。心理カウンセラーの伊藤憲治です。

今回は、以前の記事でご相談いただいた40代のお母さんからの続編です。
「娘が友達との関わりで悩んでいるようだ」という内容です。


🌼 ご相談

思春期の娘がいます。
学校での友達関係は決して悪いわけではないのですが、長い時間一緒にいるととても疲れてしまうようです。
自分から声をかけることはなく、いつも相手から声をかけられるのを待っています。
また、グループ活動で人数が奇数になると「一人になってしまうかも」と強く不安を感じています。

どうすれば少しでも楽に友達と関われるようになるでしょうか。
親として、どのように支えていけばいいでしょうか。


🌱 回答

このようなご相談は、とても多くの親御さんから寄せられます。
「友達関係がうまくいっていないわけではないのに、なぜか疲れてしまう」
「仲間に入れてもらえなくなるのが怖くて不安になる」

これは決して珍しいことではなく、思春期の子どもに多く見られる心の動きです。

ここからは、考えられる背景と、支援につながる具体的な工夫について解説していきます。


1. 思春期の友達関係に「疲れる」のは自然なこと

思春期は、自分の気持ちと他人との関わりをどうバランスさせるかを学んでいく大切な時期です。

  • 相手に合わせすぎると疲れてしまう
  • 自分の意見を言うのは怖いけれど、合わせないと仲間から外れそう
  • 「どう見られているか」が気になって緊張が続く

このような心理は、発達心理学でもよく知られています。
人との距離感を試行錯誤する時期だからこそ、疲れを感じやすいのです。


2. 「自分から声をかけられない」心理的背景

子どもが自分から声をかけられないのは、単なる性格ではなく心理的要因が関係しています。

  • 不安傾向:断られたらどうしようという気持ちが強い
  • 自己肯定感(じここうていかん)の低さ:自分は誘う側ではなく、誘われる側だと思ってしまう
  • 経験不足:どう声をかければいいか、練習の機会が少ない

この場合、「もっと積極的になりなさい」と言葉で指導しても、かえってプレッシャーになり逆効果です。


3. 「奇数のグループ」で不安になる理由

学校生活では「ペア」や「グループ」が多く、人数が合わないと誰かが一人になります。
思春期の子どもは「自分だけが余るのでは」と不安を強く感じやすいです。

これは「仲間外れにされたくない」という社会的欲求が強い時期だからです。
心理学者マズローの欲求段階説でいうと、所属と愛情の欲求が強まる時期にあたります。


4. 改善につながる工夫(家庭でできること)

小さなコミュニケーション練習

  • 家族との会話で「自分から話題を出す」練習をしてみる
  • たとえば「今日のニュースで見たこと」「授業で面白かったこと」を話す

「一緒にやろう」と言える体験を作る

  • 家の中で「一緒に料理しよう」「散歩に行こう」と声をかける
  • これが友達に「一緒にやろう」と言える練習になります

感情を言葉にするサポート

  • 「疲れた」ではなく「長い時間一緒にいると疲れる」と具体的に言えるよう促す
  • 感情の言語化は自己理解と友達関係の安定に役立ちます

5. 学校でのサポートのポイント

教師に共有する

  • 子どもの「グループで不安になる気持ち」を先生に伝える
  • グループ分けのときにさりげなく配慮してもらえる場合があります

安心できる友達を一人作る

  • 「必ず一緒にいられる友達」がいると、不安が減ります
  • 親が「たくさんの友達を作らなきゃ」と思う必要はありません

6. 親が意識したい姿勢

  • 「無理に積極的にさせよう」としない
  • 「疲れやすいのは弱さではなく、特性の一つ」と理解する
  • 「一人の時間も大切」と認めてあげる

思春期の子にとって、親が安心できる存在でいることは何よりの支えになります。


まとめ

思春期の子どもは、友達関係の中で多くの不安や疲れを感じやすいものです。

  • 「長く一緒にいると疲れる」 → 自然なこと
  • 「声をかけられない」 → 不安や経験不足が背景
  • 「奇数のグループが不安」 → 所属欲求が強い時期ならでは

改善には、小さな練習・家庭での支え・学校での配慮が大切です。


🌸 読者さんへのメッセージ

友達関係に不安や疲れを感じるのは、決して特別なことではありません。
むしろ成長の過程で自然に現れる気持ちです。

大切なのは「もっと頑張れ」と叱ることではなく、
「どうすれば少しでも楽に過ごせるか」を一緒に考えることです。

あなたのお子さんが安心できる居場所を見つけ、友達との関わりを少しずつ広げていけますように。