こんにちは。心理カウンセラーの伊藤憲治です。
今日は、40代前半のお母さんから寄せられたご相談をご紹介します。
🌼 相談
思春期の娘がいます。
物を出したら元の場所に戻す、ということがとても苦手です。
例えば、冷蔵庫からケチャップを取り出して使ったあとに、なぜか食器棚に戻していたり。
菓子パンを食べたあと、ゴミをゴミ箱に捨てずに床に置きっぱなしにしていたりします。「ちゃんと戻してね」と注意すると、逃げるように自分の部屋に行ってしまうこともあります。
しぶしぶ直すこともあるのですが、なかなか習慣になりません。どう対応すれば改善につながるのでしょうか?
🌱 回答
とても身近で、多くの親御さんが共感できるご相談だと思います。
「出したら元に戻す」という行動は、一見あたり前のように思えますが、思春期の子どもにとっては意外にハードルが高い行動なのです。
では、どのように対応していけばいいかを順に解説します。
1. 行動の背景を理解する
思春期の子どもは、身体も心も大きく変化する時期です。
そのため、注意力(ちゅういりょく)が散漫になったり、「面倒くさい」という気持ちが強く出たりします。
また、発達特性(はったつとくせい)として「物事の順序を整理するのが苦手」「片付けが習慣化しにくい」といった傾向がある子もいます。
まずは「なぜできないのか」を理解し、性格ややる気の問題だけではないことを受け止めることが大切です。
2. 環境を工夫してみる
片付けが苦手な子には、「戻す場所を視覚的(しかくてき)にわかりやすくする」工夫が効果的です。
- 冷蔵庫や食器棚にラベルを貼る(例:「調味料」「お菓子」など)
- ゴミ箱をすぐそばに置く
- 色や形で場所をわかりやすくする
「片付けなさい!」と声をかけるよりも、環境が自然に導いてくれる仕組みを作るほうがスムーズにいきます。
3. 小さな成功体験を積ませる
「元に戻せたらすぐにほめる」「ありがとう、と声をかける」ことがとても大切です。
叱られるよりも、できたときに認められる経験のほうが行動を習慣化しやすいからです。
最初は一度できただけでも十分です。
その小さな成功を積み重ねることで、少しずつ定着していきます。
4. 指摘のしかたを工夫する
子どもが注意されると逃げてしまうのは、「責められている」と感じるからです。
そんなときは次のような声かけが有効です。
- 「ここに戻しておいてくれると助かるな」
- 「一緒に片付けようか」
命令口調よりも、協力をお願いするような言葉が効果的です。
5. 一緒にやるステップを取り入れる
思春期の子どもは「親から言われるのがイヤ」と感じやすい時期です。
そのため、まずは親子で一緒にやることから始めてみてください。
- 親が片付けをしながら「ここに入れるんだよ」と自然に示す
- 「じゃあ次はやってみて」と少しずつ任せる
「一人で完璧にやること」を急がず、少しずつ手渡していく姿勢が大切です。
6. 改善が難しい場合の相談先
もし工夫をしても改善が見られず、学校生活や家庭生活に大きな支障(ししょう)が出る場合は、専門機関に相談するのも一つの方法です。
- 学校の先生やスクールカウンセラー
- 発達相談センター
- 医療機関(児童精神科など)
「うちの子はダメだから」ではなく、**「困りごとを解決するために相談する」**というスタンスで動くと安心です。
まとめ
思春期の子どもが「出した物を元に戻せない」のは、
- 発達段階の特性
- 習慣化のむずかしさ
- 注意の仕方
など、いくつもの要因が重なっているからです。
大切なのは「叱ること」よりも「工夫すること」。
環境を整え、小さな成功体験を積み、少しずつ習慣化できるようにサポートしていきましょう。
🌸 読者さんへのメッセージ
子どもの「片付けられない」は、親にとってイライラする場面の一つかもしれません。
でもその行動の裏には、成長の段階や発達の特性がかかわっていることも多いのです。
「できないからダメ」と決めつけずに、環境を工夫し、一緒に取り組むことで少しずつ改善していきます。
あなたの子育てが、今日よりも少し楽になりますようこのブログがお役になっていればうれしいです。