発達障害(はったつしょうがい)の「グレーゾーン」とは?正しく知って安心するために

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こんにちは。心理カウンセラーの伊藤憲治です。

発達障害について調べていると、「グレーゾーン」という言葉をよく目にします。
「グレーゾーン」と言われると、なんだかあいまいで不安に感じてしまう人も多いのではないでしょうか。

今日はこの「グレーゾーン」という言葉の意味と、診断(しんだん)を受けたときの考え方について、やさしく解説(かいせつ)していきます。


1. 「グレーゾーン」ってよく聞くけれど

「グレーゾーン」とは、医学的(いがくてき)な正式名称(せいしきめいしょう)ではありません。
お医者さんや専門家(せんもんか)が診断をするときに、「はっきりと発達障害と診断できるわけではないが、特性(とくせい)がある程度(ていど)見られる状態(じょうたい)」 を指すときに使われることが多い言葉です。

つまり、**白(診断なし)でも黒(診断あり)でもない、そのあいだのグレーな部分(ぶぶん)**を表現(ひょうげん)しているのです。


2. なぜ「白でも黒でもない状態」が生まれるのか

発達障害の診断は、DSM-5(でぃーえすえむふぁいぶ)やICD-10/11(あいしーでぃー)といった国際的(こくさいてき)な診断基準(しんだんきじゅん)に基づいて行われます。
ところが、人の発達や行動の特性はとても幅広く、はっきり線を引くことが難しい場合があります。

主な理由

  • 診断基準を満たすほどではないが、困りごとが続いている
  • 小さいころは強く目立たなかったが、大きくなるにつれて困難(こんなん)がはっきりしてきた
  • 周囲(しゅうい)の環境(かんきょう)によって困難の大きさが変わる

こうした場合に「グレーゾーン」と呼ばれることがあります。


3. グレーゾーンと診断されるケース

たとえばこんなケースがあります。

  • 学校生活で忘れ物が多く集中力も続かないが、検査(けんさ)ではADHD(えーでぃーえいちでぃー)の診断基準を満たさなかった
  • コミュニケーションにぎこちなさがあるけれど、ASD(えーえすでぃー/自閉(じへい)スペクトラム症(しょう))の診断には至らなかった
  • 今は困りごとが少ないが、将来的(しょうらいてき)に生活に影響(えいきょう)が出る可能性(かのうせい)がある

このように 「診断名(しんだんめい)はつかないけど、特性や困りごとがある」 場合に、グレーゾーンという言葉が使われやすいのです。


4. グレーゾーンとどう向き合う?

「グレーゾーンです」と言われると、
「じゃあ自分はどうしたらいいの?」と迷ってしまいますよね。

ここで大切なのは次の3つです。

  1. 自分を責めない
    グレーゾーンというのは「性格が悪い」「努力不足(どりょくぶそく)」という意味ではありません。
    あくまで特性のあらわれ方が診断基準にピッタリ当てはまらないだけです。
  2. 支援(しえん)や工夫(くふう)を使っていい
    診断名がなくても、学習の工夫や環境調整(かんきょうちょうせい)は利用できます。
    学校や職場で「こうしてもらえると助かる」と伝えることは大切です。
  3. 診断がすべてではない
    診断は「困っていることに名前をつけるもの」にすぎません。
    それよりも「どうすれば生活しやすくなるか」が重要(じゅうよう)です。

5. 周囲の人ができるサポート

グレーゾーンの人に接するときは、次のようなことが役立ちます。

  • 「できないこと」よりも「できていること」に注目する
  • 本人が安心できる環境を整える
  • 無理に「白か黒か」を決めようとせず、その人のペースを尊重(そんちょう)する

支援や配慮(はいりょ)は、診断名の有無にかかわらず必要な人には提供(ていきょう)されてよいものです。


6. まとめ

「グレーゾーン」とは、正式な診断名ではなく、
診断の基準には満たないけれど特性や困りごとがある状態を示す言葉です。

大切なのは「診断があるかどうか」よりも、
その人がどうすれば生活しやすくなるのかを考えること。

「グレーゾーン」という言葉に不安を感じる必要はありません。
むしろ「自分に合った工夫を見つけるチャンス」と捉えてよいのです。


🌱 読者さんへのメッセージ

グレーゾーンと伝えられると、不安になったり「中途半端」と感じてしまうこともあるかもしれません。
でも本当に大切なのは「診断名」ではなく、あなたが安心して、自分らしく暮らせることです。

困ったときは一人で抱え込まず、専門家や信頼できる人に相談してください。
このブログが少しでも、その勇気や安心につながればうれしいです。