― 元気さを否定せず、「落ち着ける環境」を整える方法 ―
こんにちは。心理カウンセラーの伊藤憲治です。
今回は、30代のお母さんから寄せられたご相談をご紹介します。
「うちの子、本当に落ち着いている時間がなくて…」
そう話し始めたお母さんの声には、困りながらも優しいまなざしが感じられました。
💬 ご相談内容
ほんとうにうちの子は落ち着いている時間がなく、
家の中でもずっと走り回って大声で叫ぶこともあります。
「笑顔で元気でいてくれれば」と思い見守ってきましたが、
小学校に入り、寝る時間がどんどん遅くなってきました。
そんなタイミングでご近所から苦情がきました。
夜10時以降に毎日ドンドン走り回っている音や叫び声がうるさいと、
管理会社から連絡があったのです。
うちの子を抑え込むわけにもいかず、
でもご近所さんに迷惑をかけるのはよくない状態だし、
どうすればこの走り回ったり大声を出したりする行動を止められるでしょうか?
🧠 回答:「やめさせる」よりも「落ち着ける条件を整える」
まずお伝えしたいのは、
お子さんの行動は“悪いこと”ではなく、発達や感情のバランスを取るための表現であるということです。
「走り回る」「叫ぶ」は、
脳の発達段階における**感情の解放(かんじょうのかいほう)**であり、
本人なりに“心を落ち着かせようとしている動き”でもあります。
ですから、「やめなさい」と叱るよりも、
「どうすれば落ち着けるか」を一緒に見つける方向で考えることが大切です。
🌿 なぜ夜に走り回るのか?
夜になると多動(たどう)や興奮が強くなる――
これは多くの発達特性のあるお子さんに共通する傾向です。
理由はいくつかあります。
🕒 1. 生活リズムのずれ
昼間に体を十分に動かせていないと、
夜にエネルギーが余り、走り回ってしまうことがあります。
特に放課後の時間帯に「静かな過ごし方」が続くと、
脳が刺激を求めて“動くことでバランスを取ろう”とするのです。
🌙 2. 感覚刺激の未処理
発達特性のある子どもは、音・光・感触などの刺激を感じやすく、
一日のうちにたまった刺激を“動き”で発散することがあります。
夜になると静かになり、外の音や光も減るため、
自分の中の感覚だけが強く残り、「動かずにはいられない」状態になるのです。
⚡ 3. 情緒の高ぶり(こうぶり)
楽しかった・うれしかった・嫌だった――
一日の中で感じた感情を、子どもは「言葉」ではなく「動き」で表します。
特に小学生前半では、
“気持ちを言葉に置き換える力(情動調整力)”がまだ発達途中。
そのため、「走る」「叫ぶ」で感情を発散する形になります。
🧩 まず家庭でできる環境づくり
🪴 1. 夜の“刺激”を減らす
- テレビ・YouTube・ゲームなど、強い光や音の刺激は夜は控える
- 照明を少し暗め(暖色系)にして“夜の雰囲気”を作る
- 「寝る時間が近いよ」という合図を毎日同じ時間に出す
「そろそろ寝よう」ではなく、
**“環境が眠るモードになる”**ことがポイントです。
🕯️ 2. 「動く→落ち着く」の切り替えタイミングを設ける
「走るな!」と止めると、子どもは反発します。
その代わりに、“走っていい時間”と“静かにする時間”を分ける工夫を。
例:
- 19時〜20時:自由に体を動かしてOK(リビングやストレッチスペース)
- 20時〜21時:照明を落とし、静かに過ごす時間
明確な区切りを作ると、
「今は動いていい時間」「今は静かな時間」が視覚的にわかるようになります。
🧸 3. 落ち着ける“感覚の逃げ場”を用意
走る・叫ぶの代わりに、
「体と感覚を満たす別の方法」を用意してあげると効果的です。
- 抱きまくらをギュッと抱く
- クッションを投げられる“発散スペース”をつくる
- 軽いストレッチ・深呼吸・お風呂で温まる
体のエネルギーをうまく流すことが、落ち着きへの第一歩です。
☀️ 「静かにして」と言うより、「静かになる時間を一緒に作る」
子どもに「静かにして」と言うのは、
“自分の体をコントロールしろ”という難しい課題です。
でも、「ママと一緒にお茶を飲もう」「お布団に入って本を読もう」など、
“行動を置き換える”声かけなら、自然と落ち着く方向に誘導できます。
❌ 「走らないの!」
✅ 「一緒に落ち着こう」
子どもの行動は“禁止”より“誘導”のほうが長続きします。
🧠 心理学的な視点:「行動の背景」を読む
「走る」「叫ぶ」などの行動の背景には、
“その子が今どんな気持ちでいるのか”というサインが隠れています。
- 不安や緊張を紛らわせている
- うれしさを表現したい
- 感覚的に“動いていないと落ち着かない”
行動だけを見ると“問題行動”ですが、
心の中では「助けて」「見てほしい」というメッセージであることも多いのです。
🌸 ご近所との関係に悩んだとき
「ご近所から苦情が来た」という状況は、
親として本当につらいものです。
でも、その気持ちをひとりで抱え込まないでください。
もし可能なら、管理会社を通して
「子どもに発達の特性があり、家庭で対応を進めています」と
簡単に伝えてもらうだけでも違います。
理解を求めすぎず、“対応している姿勢”を伝えることがポイントです。
🌙 夜の落ち着きを取り戻す3つの実践法
① 「光と音のリセット」
寝る1時間前には
- テレビを消す
- スマホを見せない
- 部屋の明かりを少し暗くする
人間の脳は、光を浴びると“昼”だと錯覚します。
静かな夜をつくるには、「光と音」を落とすことが最も効果的です。
② 「体のスイッチを切るルーティン」
- お風呂→白湯→ストレッチ→おやすみの音楽
- これを毎晩繰り返す
“同じ順番で眠りに入る流れ”を脳が覚えると、
自然と夜になると落ち着くようになります。
③ 「褒めるタイミングを夜に」
一日の終わりに、
「今日は走るの早かったね」
「静かにできた時間があったね」
など、小さな成功を言葉にすることで、
“落ち着けた体験”が強化されます。
💡 注意点:「止める」ことが目的にならないように
親が「走らせない」「叫ばせない」と考えるほど、
子どもはストレスを感じやすくなります。
大切なのは、
「落ち着ける体験を増やす」こと。
その結果として、
「走る時間が減っていく」「声のトーンが落ち着く」
――それで十分です。
☕ 親の心が疲れたとき
「何度言っても変わらない」「どうすればいいかわからない」
そう感じるのは自然なことです。
そんなときは、完璧を目指さないでください。
「今日は30分早く静かにできた」
「一度でも自分から止まれた」
たったそれだけでも、十分に成長の証です。
親が“怒る”より“見守る”時間が少しでも増えること――
それが、子どもにとっての最高の安心感になります。
🌸 まとめ
- 夜の多動は「落ち着けない心と体」の表現。
- 「やめさせる」より「落ち着ける条件」を整える。
- 生活リズムと感覚刺激のコントロールが鍵。
- ご近所対応は“説明”より“姿勢の伝達”を。
- 小さな成功を見逃さず、「できた」を積み重ねる。
💗 読者へのメッセージ
夜に走り回るお子さんを見て、
「どうして止まれないの?」と悩む気持ちは、
どのお母さんにも共通するものです。
でも、それは“困らせたい行動”ではなく、
「自分を落ち着かせたい」「元気でいたい」という心の表現です。
叱るよりも、寄り添う。
抑えるよりも、整える。
焦らず、少しずつで大丈夫です。
あなたの子育ては、ちゃんと前に進んでいます。
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